体育の時間や部活動など、学校生活ではスポーツをする機会が多くあります。大型で重量のある器具を使用することも少なくありませんが、これらの中には使用・保管・運搬等の際にバランスを崩しやすいものもあり、取扱いには注意が必要です。
新学期を迎えたこの時期、進級や進学を機に新たに部活動に参加するなど、スポーツを巡る環境が変わる人もいるでしょう。そこで、防球ネットやゴールなど主に大型のスポーツ用器具について、事故を防ぐためにはどのような点に注意すればよいのかをお伝えします。重大な事故になりかねない危険が潜んでいることを念頭に、日頃から十分な安全管理に努めましょう。
取扱いのポイント
スポーツに関わる事故は、種目の特性、競技者の特性、施設の立地や設備・器具の状態など、様々な要因が組み合わさって起こります。事故の防止には、関係する全ての人が安全に関する知識と理解を深め、これを実践していくことが求められます。器具についていえば、十分な安全性能を備えた製品の選択、取扱説明書に沿った取扱い、日頃からの点検・整備、適切な保管・管理の徹底などが大切です。スポーツを安全に楽しむために、以下を参考にしてください。
❶共通
●器具の扱い方を確認し、注意事項等を遵守する
器具には、安全に扱うための注意事項があります。新しい器具はもちろん、使い慣れた器具であっても、取扱説明書や器具本体に貼られている注意シール等を確認し、記載事項を遵守しましょう。このほか、ヒヤリハットを含めた事故情報を知ることも、安全な扱い方を学ぶ上で役立ちます。これらの事項は、取り扱う人全員に共有されていることが大切です。部員の入れ替わりなど取り扱う人に変更がある場合には、改めて注意喚起するようにしましょう。
●指導者や管理者の下、その指示・指導に従って取り扱う
指導・管理にあたる人は、器具が正しく組み立てられているか、劣化はないか等を前もってチェックしておきましょう。不具合が見られるものは使用を控えてください。
取り扱う人は、指導者等の指示を守りましょう。器具の不具合等に気づいたときは、使用をやめて、すぐに指導者等に報告してください。
万が一の事故に備えた対応(応急手当や報告体制等)の確認もしておきましょう。
●安全確保に足りる十分な人数で取り扱う
大型の器具は非常に重く、器具の転倒や落下により身体が挟まれると大きなけがに繋がります。取扱説明書の記載等を参考に、安全を確保できる十分な人数で取り扱うようにしましょう。
●適切にメンテナンスする
ネットが破れている、支柱が傷んでいるなど、器具に劣化や不具合が見られる場合は使用を控え、修繕・修理や買い換え等を検討しましょう。器具の耐用年数等を踏まえ、適切なメンテナンス計画を立てておくことは有用です。
❷運搬・設置・使用時
●事前に運搬経路や設置場所の安全確認を行う
地面の状態・通路の幅など運びやすい経路を選び、平坦な場所に設置しましょう。特に、慣れない器具、慣れない場所では注意が必要です。運搬経路や設置場所等を下調べするなどし、安全が確保できるかきちんと確かめましょう。
●バランスが取れない状態での無理な運搬・設置・使用は避ける
強風などの悪天候時、運搬・設置をする人同士の力や体格に差があるような場合などは、器具のバランスが失われがちです。互いに声を掛け合いながら慎重に運搬・設置するようにしましょう。不安定な状態のまま無理に運搬・設置したり、使用したりすることは危険ですのでやめましょう。
●ぶら下がらない、跳びつかない
器具本来の使い方とは異なる力がかかると、器具が転倒するおそれがあります。誤った使い方をしているような場合には、危険なのでやめるよう声を掛けましょう。
●設置時は、転倒しないようしっかり固定する
強風などの予期しない荷重にも耐えられるよう、器具は杭などでしっかりと固定しましょう。製品に杭などが付属されていれば活用してください。固定方法が分からない場合は、メーカーに問い合わせてみましょう。
❸保管時
●適切に固定するなど器具の安定を確保する
保管時にも事故は起きています。保管場所によっては、普段その競技に関わらない人が取り扱うこともあるかもしれません。器具の思わぬ転倒・落下の危険がないか等、保管場所や保管方法について今一度見直してみましょう。
消費者庁資料では、学校生活における事故事例も掲載しています。
消費者庁資料:Vol.8 スポーツ用大型器具に関する事故 ―取扱いに注意しましょう―