新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に変更されて初めてのウィンターシーズンを迎えます。これからスキーやスノーボード等のスノースポーツを存分に楽しもうといった方や始めようといった方もいるのではないでしょうか。
スポーツには一定のけがを負うリスクがありますが、どのようなけがが発生するかを知った上で、けがを最小限にする事前の準備が大切です。スノースポーツは、主に自然の中で行うスポーツであるため、自身の技量に加え、自然環境(地形、天候等)などの影響により事故に遭うこともあり、全ての事故を防ぐことはできません。しかし、周囲への配慮や用具の適切な調整・メンテナンス、防具の活用により、事故を防げたり、傷害の程度を軽減できたりすることもあります。
そこで、今回は、御注意いただきたいポイントをお伝えします。
御注意いただきたいポイント
(1)スキー場のルール等を守って安全に楽しみましょう。
スキー場は公共の場であるため、ルール(※)を守って行動する必要があります。
その中でも特に重要なのは、他の人を危険にさらしたり、被害を与えることのないように配慮することです。また、事故を起こさないよう、スキー場の標識・標示、禁止事項、場内放送等の注意を守ることも重要です。
その他、睡眠不足や飲酒等による体調不良等も事故の要因になるため、滑走前には自身の体調を整えておくようにしましょう。加えて、自身の体力や技量に見合った滑走を行うようにしましょう。
※スキー場のルールには、国際ルール、国内ルール(スノースポーツ安全基準)、ローカルルールの3つがあり、国内ルールは国際ルールに準拠して整備されています。
(2)スキー場に行く前に保険への加入を検討しましょう。
スキーやスノーボードでけがをした場合、その半数以上は中等症以上のけがとなっています。入院が必要であったり、後遺症が残ったりする場合があるため、事故に備える観点や、自分だけでなく相手にけがを負わせる可能性も想定し、レジャー保険等への加入を検討するようにしましょう。
(3)ヘルメットやプロテクターを正しく着用しましょう。
スノースポーツでは転倒や衝突による事故が多くなっていますが、防具の活用により、傷害の程度を軽減できます。特に、頭部への傷害は、命に関わる可能性があるため、なるべく規格基準に準拠したヘルメットを選択し、正しく着用するようにしましょう。このほか、必要に応じ、肘・膝・脊椎用のプロテクターも着用するようにしましょう。
(4)用具の調整は信頼のおける店舗等にお願いしましょう。
不慣れな者が自己の判断で用具を調整すると思わぬけがにつながる可能性があり、また、その場合、けがに関する補償が受けられない場合があります。
特にスキーでは、ビンディングの調整(解放値の設定)を誤ると、転倒時に板が外れず大けがにつながる可能性があるため、ISO 11088に準拠した調整が出来るS-B-B認定整備技術者のいる店舗等に調整をお願いしましょう。その際、自身の身長・体重・年齢・技量等を正確に伝えるようにしましょう。
(5)使用前に用具の状態を確認しましょう。
長期間使用・保管していた用具は、気づかぬうちに製品の耐用年数が経過し、ひび割れが起きているなど劣化している可能性があり、劣化した用具を使用するとけがをするおそれがあるため、以下に注意しましょう。
①使用前には…
用具の状態を確認し、劣化等している場合、自ら購入したものであれば買い替え等の検討を、レンタルしたものであれば交換をお願いしましょう。
②中古品を使用する場合には…
中古品販売店やCtoC等で中古品を購入する場合、耐用年数が経過しているのみならず、性能が落ちているもの等が存在している可能性があります。このため、可能な限り、前の使用者等から製造(購入)年月日や使用期間を聞き取るほか、付属品を含め現物の状態をよく確認するようにし、(4)の店舗等で自身に合った再調整をお願いしましょう。
③もしかしたら…
場合によってはリコール対象となっている用具の可能性もあるため、使用前に消費者庁リコール情報サイト等を活用し、調べるようにしましょう。
消費者庁資料では、最近のスノースポーツに関する事故の状況等と実際の事故事例も紹介しています。
消費者庁資料:「スノースポーツ中の事故に注意 ― スキー・スノーボードの事故を中心に ―」